免税事業者とは?メリットとデメリットを解説

消費税は、原則としてすべての事業者が納める必要がありますが、一定の条件を満たす場合、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」という制度があります。
特に個人事業主や小規模事業者にとって、免税事業者になるかどうかは経営に大きく影響するポイントです。
今回は、免税事業者の基本的な仕組みやメリット・デメリットを解説します。
1. 免税事業者とは?
免税事業者とは、消費税の納税義務が免除される事業者のことです。
消費税法では、次の条件を満たすと、原則として免税事業者になります。
免税事業者の条件(原則)
- 基準期間(個人事業主なら前々年、法人なら前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下
- かつ、「特定期間」の課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下
この条件を満たせば、消費税を納める必要がなくなります。
ただし、インボイス制度の開始(2023年10月)以降は、免税事業者の立場にも大きな変化が出ています(後述)。
2. 基準期間と特定期間の考え方
免税事業者の判定には、基準期間と特定期間という2つの期間の売上や給与額を確認します。
- 基準期間
個人事業主:前々年(例:2025年の納税義務 → 2023年の売上で判定)
法人:前々事業年度 - 特定期間
個人事業主:前年の1月1日~6月30日まで
法人:前事業年度開始日から6か月間
基準期間の売上が1,000万円以下でも、特定期間で売上や給与が1,000万円を超えると、課税事業者になる場合があります。
3. 免税事業者のメリット
① 消費税を納める必要がない
最も大きなメリットは、消費税の納税義務がないことです。
例えば年間の売上が500万円で、仕入や経費にかかる消費税が少ない場合、課税事業者だと納税が発生しますが、免税事業者ならその負担がなくなります。
② 事務負担が軽くなる
消費税の申告や計算をする必要がないため、経理や申告業務が簡単になります。
帳簿やインボイスの保存義務も一部簡易化されます。
③ 消費税分を利益にできる場合がある
免税事業者は、お客様から消費税を受け取っても、それを納める必要がありません。
そのため、実質的に消費税分を手元に残すことができます(ただし、価格設定や取引先との契約によっては難しい場合もあります)。
4. 免税事業者のデメリット
① インボイス制度で取引先から敬遠される可能性
2023年10月から始まったインボイス制度では、課税事業者でない免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できません。
そのため、取引先は仕入税額控除ができなくなり、取引条件の見直しや値下げ要請を受ける可能性があります。
② 仕入や経費の消費税が控除できない
課税事業者であれば、経費や仕入に含まれる消費税を差し引くことができますが、免税事業者はそれができません。
経費の消費税分が実質的なコストとして残ります。
③ 売上規模が大きくなると自動的に課税事業者になる
一時的に売上が急増すると、基準期間や特定期間の条件を満たさなくなり、自動的に課税事業者になります。
その場合、急に納税義務が発生するため注意が必要です。
5. 課税事業者になる選択(任意課税)
免税事業者であっても、自ら課税事業者を選択することができます。
これを「課税事業者選択届出書」を提出して行う「任意課税」といいます。
任意課税にすると、仕入や経費の消費税が控除できるため、大きな設備投資をする年などは有利になることがあります。
ただし、一度選択すると原則2年間は継続しなければなりません。
6. まとめ
- 免税事業者は、消費税の納税義務が免除される事業者
- 基準期間と特定期間の売上や給与で判定される
- メリット:消費税の負担なし、事務負担軽減、消費税分を利益化可能
- デメリット:インボイス発行不可、仕入税額控除不可、取引条件悪化の可能性
免税事業者でいるか、課税事業者を選択するかは、取引先や売上規模、経費の状況を踏まえて慎重に判断する必要があります。
免責事項
当サイト内のブログ内容については、執筆時点の各種法令に基づき記載をしているため、記載内容が必ずしも最新の情報であるとは限りません。
限定された条件下での記載や、一般の方にも記事を読みやすいよう一部専門的な内容を避けた記載をしています。正確性等を高めるよう努めておりますが、当サイト内のブログに記載された情報(第三者から提供された情報も含む。)をご利用頂いたことにより損害や不利益等が生じた場合でも、当ブログ管理者は一切責任を負いません。
ご自身の税務等に関するご判断に際しては、必ず顧問税理士等へご相談の上、ご自身の責任においてご判断下さい。