免税事業者から課税事業者への変更手続き

目次
はじめに
基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として「免税事業者」となり、消費税の納税義務がありません。
しかし、インボイス制度の開始や取引先の要請、設備投資による還付などの理由から、自ら課税事業者を選択するケースも増えています。
この記事では、免税事業者が課税事業者へ変更するための手続きと注意点をまとめます。
1. 課税事業者になる方法
免税事業者が自ら課税事業者になる場合には、次の届出書を税務署に提出します。
- 課税事業者選択届出書
これを提出することで、原則として翌課税期間(個人事業者は翌年1月1日から、法人は翌事業年度の開始日から)課税事業者となります。
2. 適用開始時期と期限
(1)原則
- 個人事業主 → 届出を提出した翌年1月1日から課税事業者
- 法人 → 届出を提出した翌事業年度の初日から課税事業者
(2)例外(インボイス制度に関連する場合)
2023年10月1日以降インボイスを発行したい場合は、特例により10月1日から課税事業者になれる制度があります。
この場合は「課税事業者選択届出書」と併せて、インボイス登録申請を行う必要があります。
3. 手続きの流れ
- 提出書類を確認
- 「課税事業者選択届出書」を作成
- インボイス発行事業者になる場合は「適格請求書発行事業者の登録申請書」も提出
- 提出方法
- 所轄税務署に持参または郵送
- e-Taxでの電子申請も可能
4. 課税事業者になるメリット・デメリット
メリット
- インボイスを発行できるため、取引先との関係が円滑になる
- 仕入税額控除や設備投資の還付を受けられる
デメリット
- 消費税の申告・納税義務が発生する
- 事務負担が増える(経理処理、インボイス管理など)
「消費税を払うようになる=損」とは限らず、投資や輸出のある事業では有利になるケースがあります。
5. 実務上の注意点
- 一度課税事業者を選択すると、原則2年間は免税に戻れない(選択不適用届出書の提出で解除できるが制限あり)
- インボイス発行を希望する場合は、登録のタイミングと課税事業者選択のタイミングを一致させる必要がある
- 売上規模や取引先のニーズに応じて、顧問税理士とシミュレーションして判断するのがおすすめ
まとめ
- 免税事業者が課税事業者になるには「課税事業者選択届出書」を提出する
- 個人は翌年1月1日、法人は翌事業年度開始日から課税事業者になるのが原則
- インボイス発行の場合は、期中から課税事業者になることも可能
- メリット・デメリットを踏まえ、事業状況に応じて慎重に判断することが大切
免責事項
当サイト内のブログ内容については、執筆時点の各種法令に基づき記載をしているため、記載内容が必ずしも最新の情報であるとは限りません。
限定された条件下での記載や、一般の方にも記事を読みやすいよう一部専門的な内容を避けた記載をしています。正確性等を高めるよう努めておりますが、当サイト内のブログに記載された情報(第三者から提供された情報も含む。)をご利用頂いたことにより損害や不利益等が生じた場合でも、当ブログ管理者は一切責任を負いません。
ご自身の税務等に関するご判断に際しては、必ず顧問税理士等へご相談の上、ご自身の責任においてご判断下さい。